【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
「だ、めよ……」
「たまには妥協も必要だろ」
岬の手が頬に触れるから、思わず「ここではだめ」と言ってしまう私。そんな私に、彼はいたずらっぽく笑って。
「じゃあ、ほかのとこならいいのかよ?」
「っ、」
だめだ……私の精神力は、これ以上彼の言葉に耐えられない。そんな優しいことばかり、言われてしまったら。
「誰も見てねぇから」
ちらりと視線でそれを確認する間もなく、彼の顔が近づいて。いくらでも拒めたはずなのに、私はよけなかった。
「っ、ん……」
微かに漏れた声が、店内の音楽でかき消されていく。見られて困るのは私たちなのに。彼が離れてくれないから、なんてそんなものは言い訳で。
「ご馳走さま」
ゆっくり離れた彼の余裕げな姿に、かあっと頬が熱を帯びていく。うわ、絶対いまの私顔真っ赤だ。
「本気、で……?付き合う気なの?」
「ん。俺は本気だから」