【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
「──あ、そうだ」
パフェを食べて、彼に奢ってもらうのを今さら申し訳なくなりながら店を出て。そこでふと、とあることに気づいた。
「羽紗のことで、」
「ん?」
「夏休みの3日前に、帰ってくるって」
彼が一瞬瞳を揺らして。そのあと、私を優しく引き寄せる。彼に抱きしめられて、人がいるんだからと抵抗しようとするけれど。
「落ち着け」と一蹴されてしまえば、もはや抗う気力がなくなってしまう。
「心配すんなよ。お前は今まで頑張ったって俺がちゃんと知ってる」
「岬……」
「俺がそばにいてやるから、
もうひとりで抱え込むなよ?」
こくりと、それに頷く。ぎゅーっと抱きしめられて、よくわからない何かが胸に詰まる。──私、は。
「羽紗が帰ってきたら、〝おかえり〟って言ってやれよ。まさかお前にそんなこと言われるだなんて思ってねぇだろうし」
「……そうね」
この息苦しさを、知ってる。どうしてこんなに、苦しいのか。わかってるけれど、私には見て見ぬふりすることしか出来なくて。