【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
「……残酷な、人ね」
ひとりで歩きながら、ぽつりとつぶやく。
私より優れてるものが、もちろん羽紗にもあった。優しさだとか、笑顔だとか。
でも一番私が羨ましかったのは──仲間がいること。それだった。
そばにいてくれて、つらいことも聞いてくれて。そんな仲間を置いて、あの子は一体どこへ行ったんだろうか。
なんらかの事件に巻き込まれていたら、どうしようもないけれど。
「……ずるい」
ぽつりと本音が漏れる。ずるい。あの子は、ずるい。──羨ましい。
誰も見てないし、私のことなんて誰も知らない。はらりと落ちる涙にも、この行き場のない感情も、誰にも気づかれない。
「咲乃……」
私の好きな人と。その人物に一時的に愛された私。そして。
──彼に惚れた羽紗も、その羽紗に惚れた彼も。
「大っ嫌いよ」
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【GUILTY BOYS
-囚ワレノ姫-】