【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
09.僕らにとっての
【side梓】
夕咲ちゃんが、稀沙ちゃんが、乃唯ちゃんが。
僕の言葉をしっかり聞いてくれるから、僕も自分の事を話そうと思えた。
「いじめって言っても、呼び出しとか無視とかそんなことされてたわけじゃなくて」
ただ、一線を置かれていただけ。
正式にはいじめと言っていいのか、というようなそんなものばかりだった。
でも、正直あの頃の僕は根暗で近づきにくい存在だったから、仕方ないって思ってる。
何よりひとりが好きだったからね。
「そんな時に、僕に話しかけてくれた子がいたんだ」
──佐原 陸(さはら りく)。
隣のクラスの男子で、彼はいつも何かと人の輪の中心にいた。明るくて優しくて僕とは正反対。
そんな佐原くんが、
「それってあの本の洋書?」と、僕に話しかけてきた。
誰でも知ってる、映画にもなったベストセラーの名前を口にする彼に、「そうだよ」と読んでいた本の表紙を向ける。