【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
キャップを閉めて、小さくため息をついたところで、
「おいブス……っ!」
後ろから、確実に迷惑になりそうなほど大きな声で名前を呼ばれた。──いや、名前じゃないわね。
「ブスじゃないわよ、私」
「性格ブスだろ!」
「知ってるわよそれぐらい……」
なんなの、もう。せっかくひとりで来たのに、どうして来るんだろう。
──絶対、あなただって私のところに来たくなんてなかったはずなのに。
「テメェがひとりでウロウロしたら、
怒られんのは俺のほうなんだよ……!」
「知らないわよ……」
「乃唯の命令だから、
さっさと心響の倉庫行くぞオラ」
チッと、空を見上げて舌打ちする彼。
暑さに舌打ちしたのか私に舌打ちしたのか。──おそらくどちらもだけれど。
彼が、私に「行くぞ」と一言だけ声をかけて歩き出す。何を言うこともなくその後ろをついていけば、バイク置き場にたどり着いた。
確か、彼の運転は乱雑だから気をつけてと、稀沙が言っていたはずだ。