【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
何も言えなくなって、とりあえず自分の荷物を持つ。
そうすれば、岬が私の腕を引いた。
「連れて帰るから」
「……うん。またね、羽歌ちゃん」
「気をつけて帰れよ」
みんなに見送られて、すこし視線を落としたまま「またね」と口にすると、部屋を出る。
そのまま歩いて倉庫を出たあと、バイクに乗る前にぎゅっと抱きしめられた。
「……岬」
「なんか、言われたのか?」
「……ううん、なんでもない」
そう、なんでもない。ただ、今日は岬の家に泊まれって言われただけなんだから。
また今度和泉のところに行けば、きっといつものように笑って迎えてくれる。
「心配してくれてありがと。大丈夫」
──この胸の痛みには、誰も気づかなくていい。