【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
岬はそれ以上なにも聞かずに、私を一度家まで連れて帰ってくれた。着替えと大事なものだけをカバンに詰めて、再びバイクで向かうのは彼の家。
──そして、彼が綺麗な一軒家の玄関の扉を開けたとき。
「げっ……兄貴いんのかよ」
嫌そうに顔をゆがめる。
「お兄さん?」
「いつもふらふらしてんのに、
なんでこういう時だけ早いんだよ……」
まぁ、入れ。と、彼が私を先に中に入らせてくれて。「お邪魔します」と小さく言ってから、彼の家に上がらせてもらう。
──と。
「あら……かわいいっ」
中から出てきた、綺麗な女性がふわりと微笑む。そして、「初めまして。岬の母です」と簡単に自己紹介してくれた。
「岬が女の子を連れてくるなんて初めてだから、私とっても緊張して思わず葉月(はづき)に連絡しちゃった」
「だから兄貴いんのか……」
どうやら、岬のお兄さんは葉月さんというらしい。うん、聞いたことがあるようなないような。
「岬、わざわざ連絡してくれてたの?」
「誰かさんとは違ってな」