【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
「〝誰かさん〟って、誰のこと?」
「チッ、兄貴……」
岬のお母さんが出てきたところから、ちらっと〝葉月さん〟らしき人が顔をのぞかせた。
「まぁまぁ、喧嘩しないの。
羽歌ちゃん、よね?どうぞ、入って」
「すみません、突然来て……」
「いいのよ~。
ふふっ、とってもかわいい子だからびっくりした。岬、短気なのにどうやってこんなにかわいい子捕まえたの?」
楽しそうに笑う岬のお母さん。
基本的に人と話すのは苦手ではないけれど、やっぱりそれなりの不安があったから、いい人そうでほっとした。
まぁ、岬の家族だからきっと優しいんだろうなって思ってたけど。
「羽歌ちゃん、あとでオーナーのとこ行かない?」
「え、と……私と、ですか?」
部屋に入って、いきなり。葉月さんからそう声をかけられて、返事が曖昧なものになる。
「うん、そう。行ったことあるかな?」
「あります。
この間、岬が連れていってくれたので……」