【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
「兄貴、余計なこと言ってんな。
まだこいつは酒飲めねぇだろ」
「飲ませるなんて一言も言ってないよ」
「つか、彼女と約束あったんじゃねーのか」
「うん?ああ、あったけど。
ドタキャンされてさー」
「……だからって人の女に声かけてんじゃねーよ」
淡々と行われるふたりの言い合いに、なんだか私の方がハラハラしてしまう。
そんな私に、くすっと笑った岬のお母さんが「お茶しましょう?」と私を誘ってくれた。
「いつも、あんな感じなんですか……?」
「そうなの。荒っぽいでしょ?
絶対に手は出さないけど、言い合いするとなかなか終わらないの」
確かに、ヒートアップしてるけれど、それは言い合いだけで、お互いに手を出す気配はない。
「葉月も岬もいい加減にしなさい」
「チッ。絶対行かせねー」
「上等。絶対連れてくから」
──そして、お母さんに言われると素直に言い合いをやめるらしい。仲が悪いのかと思ったけれど、むしろ仲が良さそうだ。