【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
よくよく考えれば、
いつも和泉は私に咲乃のことを色々聞いてきたくせに、自分の話はあまりしてくれなかった。
大学の話も、ほとんど聞かなかったし。
「秘密主義、ですね」
それに気づかなかったということは、私はかなり自分勝手だったのかもしれない。自分の事ばかりで。
「ほんとになー。
ったく、あいつは……」
さっき、和泉が声を荒らげたのは。何かを言おうとしてたはず。それなのに、どうしてあのまま終わらせてしまったんだろう。
わがままな私は、どこへ行ったんだ。
「よー、ノン」
「ノンじゃなくて、オーナーね」
葉月さんが先に中へ入って、そしてドアを潜ったところで突然ぴたりと足を止める。
「葉月さん?」
後ろから声をかけるけれど、彼は反応してくれなくて。聞こえてきたのは、フェミニストらしい彼の「この間ぶりだね羽歌ちゃん」という声。
「オーナー……」