【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
でもまぁ、俺の前でそんな風にウブな反応をしてくれるのも悪くない。もう少しすれば、俺だけのもんだろ。
「……私、恋愛とか慣れてないから」
「慣れてんのも、俺は嫌だわ。
ま、ゆっくり俺らのペースでいいんじゃねぇの」
ふわふわと、羽歌の頭を撫でる。くすっと笑った羽歌は「そうね」と優しくまぶたを伏せる。
そのまぶたに触れるだけの淡いキスをして。
「俺、意外とお前にベタ惚れかもしんない」
「意外も何も、私のこと好きでしょ?」
時間が、穏やかに流れていく。
ずっとこのまま、ふたりで。
そう思えるほどに、優しいその時間は俺にとって幸せだった。
たとえ、触れていなくとも。同じ時間を同じ場所で共有できることが幸せで。
「おやすみ」
「おやすみなさい」
羽歌を抱きしめて、その日は眠った。
──この先大きな何かが待ち構えていることなんて、俺らは知るよしもなく。
【和泉sideend】