【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
「──た。羽歌」
「え?あ、ごめん……」
和泉に耳元で名前を呼ばれて。ドキッとするよりも先に、謝ってしまった。そんな私を見て、和泉は小さくため息をつく。
「揺れてんの?」
「え?」
「俺と、岬で。
俺はあいつの事情も詳しく知らねぇからわかんねーけど、岬がとりあえず何かと乗り越えようとしてんのはわかった」
──話を聞いたあと、人の多い砂浜を会話しながらすこし歩いて、そのあとショッピングモールに来た。今はモール内のカフェ。
それは明確にわかるけれど、何を話したのかまでははっきりと覚えてない。
「岬は……私のこと好きって言ってくれて。
私も、それに向き合うはずだったの」
彼の隣に寄り添っていくと決めたはずだった。──なのに、どうして。
「和泉が好きって認めたら……
どうすればいいのか、わからなくて」
過去と向き合った岬のそばにいるのが、きっと最善策。なのに私個人の理由で、和泉のそばにいるなんておかしな話だ。
「あのさ、羽歌」
ゆっくり顔を上げれば、和泉の顔が視界に入った。