【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
13.腕の中の天使
【side岬】
カチャ、とドアの開く音がして。無意識に小さく息を呑んだ俺を見て、オーナーが小さく笑ってちらりと視線を上げる。
「いらっしゃい、羽歌ちゃん」
「こんにちは」
ふわりと笑った羽歌は俺の隣に腰掛ける。ふぅ、と小さくため息をついてからようやく羽歌に視線を向ければ、ばっちり視線が重なった。
「っ……」
そのまま羽歌がなんとも言えない表情で、まぶたを伏せる。長いまつ毛が震えるから、思わず頬に手を添えて顔を寄せたとき。
「俺いるけど良いの?」
オーナーのこの場を楽しむような声が聞こえて、はっとした。──危なかった。若干理性失ってたな。
「羽歌」
「うん……」
「……泣いたか?」
ほんのすこし目が赤い気がして、尋ねれば羽歌は首を横に振る。──信じてるから、俺は無茶に聞いたりしねぇけど。
「もしなんかあったなら言えよ?
いまお前のことを守る立場なのは俺なんだから」