【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
──はじめ、扉を開けた彼女は俺を見て固まった。数年前と、同じように。でもそれを他人事のように感じられたのは、羽歌のおかげだと思う。
「か、えって……」
弱々しくそう言った澪。
震えた声に、小さくため息をついて。
「別に、取り返そうなんて思ってねぇから」
「………」
「俺、彼女いるから」
──澪が、さっきとは別の意味で固まる。そのまま俺を見上げて、「彼女……?」と瞳を潤ませた。
数年前は、澪の方がほんのすこし背が高かったはずなのに。
「そ。だから、ちゃんとケジメつけにきただけ」
「そっ、か……」
数年前に住んでいた澪のアパートとここは別の場所。澪が俺に送ってきていた誕生日プレゼントには住所が書いてなかった。
でも、俺の親が住所を知ってたからな。言うのを渋ってたけど、説得して教えてもらった。
「どうぞ……」