【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
会いたかったはずなのに、実際に会ったらどうすればいいのかわからなくて。思わず縋るように岬を見上げた。
「咲乃。お前、どういうつもりだよ」
「何が?」
「羽歌が嫌がってる」
「……ま、そうなってもおかしくないよね」
切なげな声に、ゆっくりと心配そうな顔をする岬から離れて。咲乃とようやく顔を合わせると、涙がこみ上げてくる。
咲乃が私の目の前に来て、視線を合わせるようにしゃがみ込んだ。
「相変わらず、泣き虫なんだから」
肯定も否定もできないのに、なにか口を開こうとすれば、優しく引き寄せられて。
──まるでそれが当たり前みたいに、彼の腕の中に収まった。
「っ、咲乃……!」
「ただいま、羽歌」
押し返そうとしたのに、耳元で甘くて優しい声に囁かれたから。力が抜けて、「咲乃……」と名前を呼ぶことしかできなくて。
「ほんと、羽歌は変わらないね」
優しく笑った咲乃の唇が、私の髪に触れた。