【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
「……っ」
「ただいま」
「お、かえり……なさい……」
くすくす笑った咲乃が、指で私の髪を梳いていく。私にそうすることが慣れてるように扱われるから、気恥ずかしくて視線を落とした。
「チッ。
咲乃、さっさと羽歌から離れろ」
「なんで?」
「いまは俺のだから」
──咲乃の手が、ぴたりと止まる。そして私の顔をのぞき込むと、「そうなの?」と尋ねてきた。
「え、と……うん」
頷けば、反応したのはどうしてか咲乃ではなく羽紗のほうで。
「乃唯、どういうことなのっ……!?」
「……そのまんまだ」
「っ、意味わかんない……」
羽紗が私の元へ駆け寄ってくると、咲乃を押しのける。「お姉ちゃん!」と私に詰め寄る羽紗に「おかえり」と言おうとしていたはずなのに。
──やっぱり私は、この子と仲良くできないんだろう。