【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
「……やっと帰ってきたのね」
途端に声色の冷たくなる私に、羽紗の顔がこわばる。心なしか空気が重くなった気がした。──そう、なるわよね。
「どれだけ迷惑かければ済むのよ」
「ごめん、ね」
「早く帰るわよ」
「……うん」
羽紗が何も言えないのも無理はない。──いつだって、私は羽紗に厳しい。神無月の令嬢として、姉として。
私は、いつだって羽紗に厳しくしてないと、お父様たちから認めてもらえない。
小さくため息をついて、咲乃の腕から抜け出すと、キッと咲乃を睨んだ。──もう、さっきの私じゃない。
令嬢の私は、咲乃にも厳しいんだから。
「もう触らないで。
いつまで私のことを自分のものだと思ってるの?いい加減にしてちょうだい」
「………」
「私は、」
すっと、息を吸い込む。──悩むも何も、わかってたことでしょう?