【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
「──羽紗も、咲乃も大嫌いよ」
躊躇うことなくそう言えてしまう自分に、笑えてくる。所詮笑って「おかえり」なんて言えないと、わかってたじゃない。
「お姉ちゃん……」
羽紗が何かを言おうとしたけれど、その前に私の耳は咲乃の「相変わらず、意地っ張り」というつぶやきを拾ってしまう。
「うるさい……っ」
「羽歌はすぐにそうやって逃げる」
──もう、放っておいてよ。
言いかけた言葉は、優しく後ろから唇を手で塞がれたことによって消え去る。
「おい。これ以上、羽歌のこと傷つけてやんな。
お前のせいでどれだけ羽歌が傷ついてると思ってんだよ」
「岬って、ほんとに昔から面白くない」
「なんとでも言え」
「もういいよ。
──羽歌は、残酷だね」
残酷って、何?
悲劇のヒロインぶるわけじゃないけれど、私を傷つけたのは咲乃のほうじゃないの。