【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
バイクを路地から引っ張る彼のその言葉にくすっと笑えば、「なんだよ」と不機嫌な声で聞かれる。
「優しいなぁって」
「はぁ?」
「羽紗が、羨ましい」
「………」
「あ、ごめん……なんでもない」
彼が黙ったことで、自分が思わず口走った言葉に気づいた。羨ましい、なんて。──私が言う必要はどこにもないのに。
「お前……」
「はやく帰りましょう?
乃唯に、怒られちゃうから」
「もう怒られてるけどな」
彼のバイクの後ろに乗って、倉庫まで帰る。乱雑だと言われていたけど、彼は稀沙よりも気をつかって安全運転で帰ってくれた。
それに、真夏で暑いはずなのに。
「……(やっぱり、優しいのね)」
バイクに乗ってる間は、彼は私が引っ付いても何も言わなかった。