【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
ふわりと、引き寄せられて。彼の胸に顔をうずめると、優しく頭を撫でられる。鼻をすする私に、「ごめん」と岬がつぶやいた。
なんで、謝るのよ。
誰も好きにならないと、恋愛などしないと、決めたのは私で。それを破ってずっとそばにいてくれた和泉を好きになったのも私で。
なのに、どうして。
「っ、ふ……」
「ごめんな、羽歌」
唇の隙間から、嗚咽が漏れる。ぎゅっと岬の服を握ると、頭を撫でていた手が一瞬止まる。でも、すぐに何もなかったかのように撫でてくれた。
「……傍にいるから。安心して寝ろよ」
私の寝る予定の布団で和泉が眠ってしまったから、岬のベッドで抱きしめられて眠る。
──和泉に抱きしめられて眠ることもあったな、なんて、眠気と泣きすぎて痛くなった頭で考えながら。
「おやすみ、なさい」
朝日がのぼる、ほんの少し前。
私は、眠りについた。
──翌朝、目が覚めたときにはもう、和泉は帰っていて。顔を合わせることはなかった。