【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
──咲乃に、別れるように言ったの。
その言葉の意味を呑み込めなくて、思わず「どういう意味?」と返してしまう。だけど羽紗は嗚咽のせいで、話せなくて。
「……ほんとに、泣き虫」
ポケットのハンカチで羽紗の瞳から溢れる涙を拭ってあげると、彼女はぎゅう、と私に抱きついてきた。
「っ、わたしね……
咲乃とお姉ちゃんは、認めてもらえてないからずっと結ばれないって思ってて、」
「………」
「っ、だから……っ。咲乃に別れるように言ったあと、お姉ちゃんに幸せになって欲しくて、乃唯にお姉ちゃんと付き合うように言ったの」
小さく、ため息をつく。それなら、なぜ。
「なんで、乃唯なのよ」
──彼は、何も関係ないでしょう。
「っ、だって、乃唯……ずっと、お姉ちゃんのこと好きだったんだもんっ。
見て見ぬふりなんて、出来ないよ……っ」
それを聞いた瞬間に、頭の中が真っ白になった。──私の考えが、もし。あってるんだとしたら。いや、そうじゃなくとも。
〝ずっと羽紗は知ってた〟
──ああ、なんで私、忘れてたの。この子が誰よりも優しくて、優しすぎることなんて知ってたでしょう。この子の姉は、私でしょう。