【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
苦しかったのは、咲乃と羽紗のほう。咲乃は私を好きなのに、私のために身を引いてくれた。そして。
「羽紗……」
この子は……私のことを想ってる乃唯を、ずっと想っていた。振り向かないと、知っていたのに。それでも、ずっと。
──乃唯のそばで、笑ってた。
「ふたりとも……泣きすぎ」
私の隣にいた咲乃は、困ったように笑って。私と羽紗の頭を撫でた。咲乃にも「ごめんなさい」と口にすれば、彼は「いいよ」と微笑んでくれる。
変わらない咲乃に、また涙がこぼれる。
「ごめんね、俺も認めてもらえたこと知らなくて……羽歌のこと傷つけたよね。
でも、俺は羽歌が好きだよ。ずっと」
「っ……」
「忘れたことなんて、一度もないよ」
「さ、きの……」
「傷つけてごめん」
ふるふると、首を横に振る。
視界がぼやけて、世界が滲む。抱きついてた羽紗が同じように涙をためながら、笑って私の涙を拭ってくれた。