【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
17.蝕んでいく暗黒
【side羽紗】
「おねーちゃんっ」
「羽歌でいいって、言ったじゃない」
「こっちのほうが慣れてるもんっ」
そう言えば、「そう」と冷たい羽歌。でもいいもんねっ。さっき好きって言ってくれたもん!
──お店を出て、3人で向かうのはわたしと羽歌が一緒に住んでいたマンション。話によると、最近羽歌はここに帰ってないんだって。
わたしも、それを知らなくて神無月のホテルに泊まってたから、帰るのはひさしぶり。
「咲乃も、一緒に来るの?」
「いや、俺は帰るよ。
マンションまでお姫さまを送ったらね」
「むー、お姫さまだって」
身長がすこし高い羽歌を見上げると、羽歌はくすくす笑って「胡散臭いわよね」と咲乃に言った。
ほんとに胡散臭いよ、咲乃。
「ひどいね、羽歌」
「わざとよ、わざと。
ほら、もうついたから大丈夫。わざわざありがとう」
切り替えの早い羽歌がそう言うと、咲乃は「うん、またね」と私たちに手を振って帰っていった。
咲乃と羽歌は、付き合ってた時からサバサバしてこんな感じだった。