【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-



「あー……」



ちらっと視線を上げると、その答えを求めていたのは梓だけじゃなかったらしい。乃唯と稀沙が俺に視線を向けた。



「咲乃との関係によるんじゃね。

色々解決したら、戻ってくるかもな」



羽歌は、もどらないと。



言っていたけれど、それを伝えて幹部たちが無理やりあいつを引き戻すのは可哀想だからな。

とりあえずはこう言っておけば、羽歌を強引には取り戻そうとしないだろう。



「そっか。まぁ、そうなるよね」



「様子見る」




予想通り、稀沙と乃唯がそれ以上尋ねてくることはなく。小さく安堵の息を吐いていれば、乃唯が「そろそろいいか」と空気を切り替える。



「知ってると思うが、

心響の下っ端が〝誰か〟に闇討ちにあってる」



ピリピリしたこの空気が、苦手だ。



「幸いにも大怪我してるヤツはいねぇから、羽歌も気づいてなかったけどな。

ただ、あえてそうしてるみたいだ」



あえて?──その疑問を読み取ったように乃唯は「急所ギリギリばっか狙われてた」と口にする。

ぞわりと、背中を得体の知れない冷たい何かが這ったような気がした。



「狙おうと思えば、

いつでも急所狙えるってことだね」



「おそらくな」



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