【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
淡々と交わされる乃唯と稀沙のやり取りに、眉間を寄せる。俺は。──俺らは。
「武器使ってるってとこが卑怯だけど、
技術的には俺らと同レベルぐらいかな」
「一筋縄ではいかなそうだねぇ」
「さっさと片付けないと、さらに被害が増えちゃうよ……?」
「そうなんだけどね……
梓はあんまり関わったことないから、わかんないかもしれないけど、お互いにどんな行動を取るかわからないから、勢いだけで乗り込めないんだよ」
いつだって、誰かを助けようとはするけれど。
全員を助けられるわけじゃない。結果、こうやって下っ端に被害が出てる。〝安全〟なんて、100%ありえない。
「今はこっちのダメージがデカい。
全員回復したら決行できるような作戦を練る。梓、あのデータ出してくれるか」
「はぁい」
梓がパソコンを操作すると、部屋の中にあるコピー機から数枚紙が出てきて。それを手に取り、梓は俺らに渡す。
「一応、敵の情報と僕らの状況をまとめたものだよー。
佐原たちの仕業でほぼ間違いないし、向こうはおそらく羽歌ちゃんの存在も知ってるはず」
「羽紗の存在は」
「〝姫〟を、見られてるから。
羽紗ちゃんは髪を切ってるけど、まさか姫が一卵性の双子だなんて思わないだろうし、狙われる可能性はあるかなぁって」
──梓の情報はどこまでも正確だからこそ、俺らはその哀しみと痛みから逃れられないんだろう。
現実から、逃れられないんだろう。