【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
しばらく今後のことについて話し合ったあと、作戦を練る前に、と休憩を挟む。
空気の張っている部屋から出てタバコを取り出すと、「逮捕だよ」と笑った稀沙が俺から箱を奪った。
「おい、稀沙」
「羽歌ちゃんに嫌われるからやめときなよ」
──岬の悪い癖だよ。
そう言って箱を返してくる稀沙に思わず舌打ちして、ポケットへとしまう。吸うつもりは、なかった。だって、ライター持ってねぇしな。
ただ。
「なんか悩んでる顔だね」
「顔に出るって面倒だな」
「顔に出なくてもわかるよ、なんか悩んでることは」
はぁ、とため息をつく。きっと、こんなことで迷ってる暇はどこにもなくて。俺は心響の幹部としてしっかりしねぇとダメなのに。
「羽歌は……
和泉さんのことが好きで」
「和泉さんって、
羽歌ちゃんのこと好きだよね」
「ああ」と、頷く。ふたりが刻んできた時間はふたりのものだから、それを否定する権利はどこにもねぇけど。
──俺の隣に、と望んでしまう自分に嫌気がさす。