【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
「お互いを思いすぎてのすれ違いが、
きっと一番つらくて儚いんだろうね」
ぼそりとつぶやかれたそれに、胸の中が圧迫される。──わかってる。羽歌が和泉さんを好きなことも、和泉さんが羽歌を好きなことも。
──互いに気を遣って、俺と向き合ってくれていることも。
「まぁ、でも……
手放したくないなら、それでもいいんじゃない」
「は?俺が完璧に邪魔してんだろ」
「でも譲る気はどこにもないんでしょ?
俺だって……柚のこと、ほかのヤツには渡せないよ」
サバサバしてる稀沙の口から独占するようなセリフが出たことに驚いて。思わず稀沙を見つめると、稀沙は小さく息をついた。
「連絡取る暇はない。デートは3ヶ月に1回出来て良いほう。一応そばにはいるけど、滅多に構ってやれない。
なのに柚がそばにいてくれるから、正直な話をすると俺は安心してるんだよ」
「………」
「それとは裏腹に、いつか愛想尽かされるんじゃないかって不安ももちろんある。
だから最低限、柚に触れるときだけはこれでもかってぐらい丁寧に愛してる」
まぁ、たまに優しくしてやれないけど。とつぶやく稀沙。なんで生々しい話になってんだこれ。
「羽歌ちゃんは、それと同じように。
自分の中で葛藤してるけど、気持ちよりも岬を優先してる。じゃあ、その岬が揺れちゃダメでしょ」
稀沙の例えが、クッソ分かりにくかったけど。
でも、言いたいことは伝わった。