【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-



低くて威圧感のある声に「わかった」と返事して。稀沙と手分けして、連絡する。聞けば、すぐにでも来るとのことだった。



夕咲があわてて出ていったのは、羽紗を迎えに行くためだったのか。



「羽歌が拉致られたってなんだよ……」



咲乃と一緒じゃなかったのか。



つか、なんで羽紗が羽歌と一緒に?



そう思ったものの、空気の張り詰めた部屋にその質問を投げかけることなんて出来るわけもない。



──数十分経った幹部室には、夕咲が迎えに行った羽紗と、先代が揃っていた。




「羽紗、何があったか話せるか?」



乃唯が机に顔を伏せていた羽紗に訊ねれば、羽紗は顔をあげて涙を拭う。



「咲乃と、3人で帰って……咲乃とマンションの前で別れたあと、軽く掃除して晩ご飯の材料を買いに行こうって外に出たの」



「出歩くなって言っただろ……」



「ご、めんなさい……」



「まぁいい。で、その後どうなった?」



先を促す乃唯に、羽紗が口を開く。乃唯が呼んだのか、それと同時にカチャリと扉が開いて咲乃が入ってきたけど。

それより今は、羽紗の話だ。



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