【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
「怪我したって聞いたから、
すっごく心配したの……っ」
──こうやって梓が抱きつくのは、いつの間にか習慣になってるらしい。でも、梓のそれは、愛情表現で。
乃唯だけじゃなく、たまにほかの幹部に抱きついてることもある。すなわち、梓はみんなのことが大好きというわけだ。
──ちなみに梓だけは、私たちよりもひとつ年下の、高校1年生らしい。
「ちょっと掠っただけだからな。
別に、入院するほどの怪我でもなかったんだよ」
「もう、大丈夫……?」
心配そうに瞳を潤ませて、梓が尋ねる。ふっと笑った乃唯は、くしゃっと梓の頭を撫でて。
「ああ。心配かけてごめんな」
「ううんっ」
「それより、頼んでたの出来たか?」
「うんっ、できたよ……!
取ってくるから、ちょっと待っててね」
梓が何かを取りに、部屋を出ていく。
「……あ」
それと同時に、私のスマホが鳴った。相手は──お父様、か。神無月に彼らは関係ないから、彼らの前で話す必要もない。
スマホを手に部屋を出ると、ちょうど入れ替わりで、梓が部屋の中へと戻っていった。