【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
18.脳裏に浮かぶ、
「……これでいい?」
スマホの電源を落として彼に問えば、それを受け取りながら「完璧だ」と目の前の男が笑う。
「ありがとう。
よく〝出来る女〟って言われるの」
「はっ、自意識過剰か?」
「そういう世界だから。
でもあなたも私と同じで、そうやって自分が正しいと思ってるでしょう?」
「否定はしねぇな」
──拉致されてる私が、どうしてこんなに優雅にも彼と話をしているのかと聞かれれば。30分は確実に自分の身が安全だからだ。
佐原 陸。──元、梓の親友。
「ねぇ、どうして私を拉致したの?
拉致したところで助けに来るかは知らないわよ」
「いや、来るだろ」
「あなた、私が心響の女じゃないってわかってるんでしょう?」
「ああ。でも、心響の女の姉貴だろ」
やっぱり知ってたのか。
ということは、わざと私を拉致した可能性がある。──なんのために?