【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-



「………」



ぴた、と。突然佐原が動きを止める。そして、顔をあげた。──下が、騒がしい。



「……よく来れたな」



「あなたの負け、ね」



「……いや。それはどうだろうな」



く、と。彼の手が私の首に巻き付いて。締め付けるそれに苦しさで思わず顔をゆがめる。



──ああ、そういうこと。彼の目的は初めから私を襲うことなんかじゃなかった。彼は、初めから私を犠牲にするつもりだった。




「っ、」



まだ、息ができないほどじゃない。



手加減されてるけれど、苦しくて視界が霞む。横目で見た扉が、次の瞬間ものすごい音を立てて開いた。



「羽歌……っ!」



ああ、もう。



やっぱりあなたは、いつだって私を助けようとしてくれる。そばで守ってくれる。だから、こんなにも愛おしくて胸が痛い。



──ねぇ、和泉。



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