【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
02.偽りの優しさ
「悪いな、羽歌。
今日は俺が送ってやれねぇから」
──18時を、すこし過ぎた頃。
そう乃唯に言われて、言われてみればそうだなと思う。
昨日の帰りに送ってくれたのも、今日の朝に迎えに来てくれたのも稀沙だったし。
「じゃあ、稀沙と帰ればいいの?」
「いや、稀沙は俺と梓とやることあってな。
だから、岬が送ってくれる」
夕咲は、用事があったらしく、倉庫にあまり長い時間居座ることもなく帰ってしまった。──用事なら、仕方ないわよね。
「わかったわ。じゃあ、また明日ね」
私の言葉に、乃唯は「ん」と短く返事してくれる。ああ、そういえば、さっき和泉から連絡があったんだっけ。
「乗れよ。送るから」
みんなにまた明日と告げてから倉庫を出て、彼のバイクの後ろに乗りながら「和泉の家まで送ってもらえる?」と声をかける。
「はぁ?」
「渡すもの、あるって言われたでしょ」
さっき、連絡が来て絶対取りに来いって言われたから、行かないわけにも……ね。
「……その代わり、
帰りは送らねぇから和泉さんに送ってもらえよ」