【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
今度、顔をゆがめたのは佐原のほうで。
「なんで、なんだよ……」
「………」
「あの時だって一方的に避けたのは、俺のほうなのに……!
なんで、俺のこと責めないんだよ!」
「陸……」
「──なんで、嫌いだって突き放さないんだよ!」
声を荒らげた佐原に、梓は近づいて。そして泣きそうな顔で口を開いた。
「嫌いになんて、なれないもん」
「……っ」
「いまの陸が、僕にとって敵だとしても。僕のことを、嫌いだとしても。
〝あの時〟優しくしてくれたのだって、陸だもん。一時的なものだとしても、本当は恨んでたとしても、陸は陸だよ」
──泣きそうな顔で、それでも笑った梓がどうしようもないほど眩しくて。
「ご、めん……あの時、僕だって向き合おうとすればちゃんと陸と向き合えた。
それを選ばなかったのは僕の〝弱さ〟で」
「梓、」
「あの時向き合っていたら、きっと陸をここまで傷つけることなんてなかったよね」