【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
19.黒に紛れた純白
【side羽紗】
「あっつ……これで夏休み終わったとか、マジで言ってんのかよ」
「仕方ないよ。夏なんだから」
「お前マジでうるせぇな」
「岬に言われたくない」
「なんだと?」
「はいはい、ふたりとも。
その言い合いが何よりも暑苦しいって自覚して。俺だってさっさと柚のとこ行って癒されたいんだから」
──岬との言い合いを、稀沙に遮られて。さらりと入ってきた彼女とのノロケに頬を膨らませれば、乃唯に宥めるように頭を撫でられた。
どうも、子ども扱いされてるようでイラッとする。
──大好きだけどね。
「あ、みんな……っ!
僕は陸のとこ行くから、またねー」
ひらひらと、梓が手を振る。
嬉しそうな表情に「またね」と手を振れば、梓は慌ただしく駆けていった。
それに小さく笑って、それからまたみんなで歩みを進める。
──そういえば、夕咲はどこ行ったんだろう。