【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
結局、彼は和泉のマンションの下まで送ってくれて。
バイクを降りてヘルメットを返したところで、「そういえば」と、岬が私を呼び止める。
「お前、夕咲と仲良いだろ」
「うん。なに、嫉妬?」
「違ぇよ馬鹿。
夕咲がお前に優しいのは、」
そんなにすぐ否定しなくたっていいのに。岬が、気まずいのか視線を落として。
「羽紗のことが、好きだったんだよ」
──そんなの、言わなくたって知ってるのに。それを聞いて私が知るのは、ただ痛いほどの現実だけなのに。
「そんなの、みんなでしょう?」
「………」
「あなたたちにとって、私は……
羽紗の、身代わりの姫でしかないの」
「、」
「今さらそんなこと知ってるわよ。
私を好きでいてくれる物好きなんて、」
──彼だけ。そう言いかけて、やめた。言う必要なんてないんだから。私の存在は、ただの姫の身代わり。
「じゃあね、岬。
送ってくれてありがとう。バーにも連れていってくれて、今日は楽しかったわ」