【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
「や、でも……」
「大丈夫だから」
優しくなだめる彼に渋々頷いて、口元の部分を袖で拭ってから渡す。
その缶を開けて口元に運び、オーバーテーブルに缶を置いた彼は、ふわりと私の頭を撫でた。
「迷惑かけてごめんな。
たった1日の入院なのに大袈裟で」
ふるふると、首を横に振る。
彼が怪我をしたのは、私を庇ったから。
不運にも、彼と買い出しに行く途中に、不良に絡まれてしまった。乃唯は、「先帰れ」と私を帰そうとしたのだけれど。
さすがにひとりで帰るのも不安しか残らなくて、それを拒んでしまった。
その結果、このあたりでは有名な暴走族〝心響(しおん)〟の総長である彼ひとりなら簡単に勝ててしまった相手に怪我を負わされた。
──私が、素直に帰っていたら。
きっと彼は、無事だったのに。でも、あの時男たちに腕を掴まれたのが、一瞬にして私を精神的に追い詰めた。
周りに男の子ばかりなのに、男の子が苦手な私。
だからこそ、何気ないその行為が気持ち悪くて、ひとりで帰るのが怖くて堪らなかった。
「羽歌、大丈夫か?」