【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
昨日、確か今日は仕事で来れないって言ってたじゃないの。だから今日は朝から誰も来なくて、暇だったから本を読んで時間をつぶしていたのに。
「だって、今日退院するんでしょ……?」
「あ、うん……」
「みんな、和泉さんがいるからって
遠慮して今日は誰も来てないんだよー」
──だから誰も来ないのか。
そういえば、みんなの前で和泉に退院するときは手伝ってと言ったような気もするけど。
別に遠慮しなくてもいいのに。
「じゃあ、僕らは帰るねーっ」
「うん、またね」
ばいばーい、と手を振った梓は、彼と仲良く話しながら部屋を出ていって。
ひとり取り残された部屋には沈黙だけが残る。それがさみしくて、朝のうちに読み終えてしまった本のページをペラペラとめくる。
この本は、和泉が持ってきてくれたものだ。
「その本、もう何回も読んでるだろ」
カラカラと扉が開く音に視線を移す。
入ってきた和泉に「暇なんだもん」と訴えれば、彼はふっと笑って隣の椅子に腰掛ける。