【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
××.たとえば、君を
【side和泉】
──自分で言うのもあれだが、珍しく外仕事だった俺。時計は既に21時を過ぎていて。
晩飯まだ食ってねぇし腹減った、なんて思いつつ。
ようやく帰ってきたマンションのエレベーターに乗ると、壁にもたれかかる。
「はぁ」
羽歌と付き合って、3ヶ月。
お互いに慣れてきて、羽歌が学校に行く時は「いってらっしゃい」と見送り、
心響のたまり場から帰ってきたら「おかえり」って迎えてやるのももはや当たり前な今。
ぶっちゃけ。
「ただいま」
すげぇ幸せです。はい。
ガチャっと扉をあけて、中に声をかけると、微かに物音がする。靴を脱いでいたら、リビングと廊下の狭間にある扉が開いて。
「おかえりなさいっ」
羽歌がそうやって迎えてくれることに、思わず口元が緩む。
近づいてきた羽歌を抱きしめると、不思議そうにしながらも背中に手を回してくれた。
あー、もー……かわいすぎかよ。