【完】GUILTY BOYS －囚ワレノ姫－

「……頼む？」



「あー、もー仕方ないっすよね。

率直に言います。羽歌を幸せにしてやってください」



「は……？」



たぶん。



この時の俺は仮にもモテるとは言えない表情だったはずだ。だってそうだろ。なんかの冗談としか、思えなかった。



「は……は。笑えねぇよそんな冗談」



「冗談じゃないです。

ついさっき、羽歌と別れてきました」




意味、わかんねぇって。



「なんで、」



「羽歌が和泉さんを好きだからです。

俺は羽歌が好きなんで、正直渡したくはないですけど。羽歌を傷つけてまで自分のモノにしたくない」



どこまでも真っ直ぐなその言葉は、痛いほどに眩しくて。



「俺と羽歌が、笑ってんの見てられる？」



「今すぐは無理です。

でも、羽歌が目を覚ます前から別れるって決めてたんで。ある程度の覚悟はしてます」



誰よりも、大人だった。