【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
シンとした空間に、和泉の声だけが落とされて。
「だ、め……?」
──もう、自分の感情を否定する気にもなれなかった。好き。そんな感情いっそのこと捨ててしまえば楽なのに。
捨てたい感情ほど、捨てられなくて。
ゆっくり顔を上げて問えば、和泉は「いや……」とそれを否定する。
そして、涙が流れたわけでもないのに、私の目元を指で撫でた。
「お前が咲乃のこと好きなのは、
たぶん誰よりも俺が知ってる」
「うん……」
──私も、そうだと思う。
咲乃に出会ったのは、和泉がきっかけだった。そしてそばで見守ってくれていたのも、和泉だった。
私たちが付き合った時に、誰よりも「おめでとう」って喜んでくれて。
そして、あの日は、
「お前の咲乃への、想いは……
俺にとって眩しいぐらい綺麗なんだよ」
──誰よりも、私の気持ちを否定せずに、私に優しくしてくれた。
「だから、否定しない」
──そして今も、彼はどれだけ私がつらい思いをするとしても選んだ道を、絶対に否定しない。