【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
03.言えない二文字
【side和泉】
──どこかで、何かが音を立ててる。それは聞こえる。けど、どうも起きる気になれない。
部屋の暑さにやられたのか体がだるい。
──と思ったら、次の瞬間自分の近くから音がして。それがスマホの着信音だと気づいて、手を伸ばした。
「んー、もしもし……?」
『和泉さん。そこにアイツいますか』
「ん……?」
アイツ?──ああ、羽歌のことか。
そう気づいた瞬間、さっきまでのだるさが吹っ飛ぶくらいの勢いで体を起こした。
「んー……」
微かにベッドが軋んだからか、羽歌が眠そうに声を漏らす。というか、寝てる。
『和泉さん?』
「悪い……羽歌なら俺んとこにいるけど」
どうした?と訊ねれば、安心したような呆れたような、どっちとも取れるため息が返ってきた。
『今から迎えに行くんで、
たたき起こしといてもらえますか』