【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
そう、あの瞬間から俺はおかしい。
──子どもじゃねぇから、さすがにそれがなんなのかぐらいは、理解できてるけど。
それまでは咲乃と付き合っていた羽歌をちゃんと見守ってたはずなのに。
まるで何かが壊れたみたいに、羽歌への感情が溢れて止まらなくなってる。
──今だって。スヤスヤと眠る羽歌の髪が、日に当たってさらに透けたように明るくなってるのが、綺麗だなとか。
ちょっといまのは変態っぽいけど。いや、そうじゃなくて。どうしてか、羽歌の美貌にさらに美しさが加わって見えてくる。
「ん、やだ……」
起こそうとした俺に、身をよじって甘えた声を出す羽歌。……やべぇ。普通にかわいいから起こせない。
羽歌は性格悪いって言ってるけど、そんなことはない。強くあるべきところは強く生きてるだけ。
「……羽歌」
「ん、っ……」
揺する、にも……どうするべきだ。
なんて考えていたら、羽歌がゆっくりとまぶたを持ち上げて。
「……いず、み」
ほんの少し、掠れた眠気の残る声がかわいいと思ってしまった。いや、マジで可愛いんだって……って、俺は誰に言い訳してんだ。