【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
──昨日、羽歌にそう言われたとき、本気で、キスぐらいしても許されるんじゃないかと思った。
だって、俺はもう、とっくに。
「じゃあ……ごめん、
またシャワー借りてもいい?」
「そうだな。入ってこいよ」
──好きなんだよ、お前が。
羽歌に好きだと言われたら、俺は羽歌をこれでもかというほどに甘やかすんだろう。
付き合ったら、たぶん俺のほうが羽歌にべったりになる。
──咲乃にだけ見せていた、あの恋してる女の顔を、自分だけに向けられたら、確実に俺は羽歌から離れられない。
「飯作ろ……」
余計なことを考えたら、また羽歌でヘンなことを考えてしまいそうになるから、頭を切り替えて、やるべきことに専念する。
──暑さのせいで、脳がおかしい。
だからヘンなことばっか考えてるだなんて、言い訳して。
「和泉、あのね──」
俺をまだ頼ろうとしてくれる、もういとこだなんて思えない彼女に対する思いも、一夏だけの感情だったならよかったのに、と小さく息を吐いた。