【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
「みーさーきー」
倉庫について、中に入ると、幹部のいる幹部室にまで聞こえそうな大声で、わざと岬を呼んだ。
「和泉さん!?」「姫も……!」と、下っ端たちが駆け寄ってくるのを微笑ましく見ていたら、
「デカい声で呼ぶのやめてもらえますか」
──梓以外の幹部が、上から降りてきた。たぶんアイツは今日も寝てる。つーか。
「こっから叫んだら聞こえんだな」
「あなたそれを実験してたの?」
すかさず突っ込んでくる羽歌に、「冗談に決まってんだろ」と言えば睨まれた。お嬢様なんだからおしとやかにしろよ。
「羽歌」
「……乃唯」
静かに羽歌を呼んだのは乃唯で、乃唯の元へ行った羽歌は、優しく乃唯に抱き寄せられる。
意味分かんねーな。お前が好きなのって、羽紗のほうだろ?──じゃあなんで、羽歌をそうやって。
「泊まるのもちゃんと連絡しろ。
昨日連絡のことで怒ったばっかだろ」
──愛しい彼女みたいに、優しく扱ってんだ。嫉妬でしかないそれに、自分で呆れるけど。でも、なんでなんだよ。
お前が好きなのは、羽紗、なんだから。