【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
「うっ……ごめん、ね?」
「……まぁいいけどな」
乃唯の腕の中に収まった羽歌は、ぽんぽんと頭を撫でられて気持ちよさそうに目を細める。
──無意識に、目をそらしていた。
「和泉さん」
「ん?どうした?」
稀沙に声をかけられて返事すると、稀沙は「これから仕事ですか……?」と尋ねてくる。ああ、いまスーツだからな。
「仕事なら楽なんだけどな」
そもそも、俺の仕事は御橋の仕事で。同じようにスーツは着るけど、そっちの方が気は楽だ。いまから行くの、は。
「神無月に用があるんだよ」
──羽歌と、羽紗の実家。
ぴくりと視界の端で羽歌が肩を揺らした気がしたけど、目をそらしてるから定かじゃない。
「羽歌。またな」
「あ、和泉……待って」