【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
呼び止められて振り返ると、乃唯の腕から抜け出した羽歌が俺の元に寄ってきて。
「お父様に、何か言われたら……
〝わかった〟って、返事して欲しいの」
「………」
「きっと、和泉は優しいからそれを断ると思う。だから、何か言われたらちゃんとそう答えてね」
お願い、と羽歌に言われて、俺が断れるわけもない。小さく「わかった」と答えるけれど、なんだか嫌な予感がした。
「じゃあ、行くからな」
「うん。
昨日、色々聞いてくれてありがとう」
羽歌の頭を撫でてから、その場を離れる。車で神無月に向かって、双子の父親のいる場所に、通されたとき。
「相変わらず礼儀正しいな。和泉」
「一応、御橋の息子ですから」
どんなご要件ですか?と、尋ねる。薄情なこの人は、神無月のためであれば自分の娘を犠牲にすることさえ厭わない。
「羽歌と、結婚してくれ」
……は?
「いますぐとは言わない。
羽歌が……そうだな。高校を卒業してからでいい」