【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
──ああ、だから。羽歌は俺に、約束させたのか。何かあれば、そう返事しろと。俺への要件は、わかっていたから。
「羽歌は、なんて……」
それでも、せめての足掻き。
「羽歌なら一つ返事で承諾してくれたよ」
「……そうですか」
「和泉には恋人もいない。
羽歌なら出来もいいし、基本なんでも出来る。うってつけの女だろ?」
──この人に、羽歌は逆らえない。仮にも自分の父親で。でも、それよりも羽歌がこの人に縋る理由がある。
「……わかりました」
羽歌は、ここを離れたら生きていけない。
いままで神無月の出来のいい令嬢を貫いてきた羽歌が居場所を失えば、アイツは生きる目的を見失う。
まぁ、あんな出来のいい娘をこの人が離してくれるだなんて微塵も思ってねぇけど。
「その代わり、」
「……なんだ」
「羽紗を、捜してもらえますか」
──アイツの、たったひとりの妹を。