【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
聞いた俺に、目の前の人はふっと笑った。馬鹿にしたようで、でも悪気はなさそうな、なんとも言えない笑い方。
「もしかして、知らないのか」
「……何を、ですか?」
「羽紗の居場所なんて、とっくにわかっている」
「……は?」
あ、やべ。驚きすぎて思わず間抜けな声が出た。完璧に失礼だ。──でも、それを気にすることなく話は続けられる。
次に聞いた言葉に、どうしようもなく焦りが湧いたのは、きっと。
「羽紗なら、関西にいる」
「………」
「──羽歌は、とっくに知ってるはずだ」
羽歌が……羽紗の居場所を知ってる?まさか。だって、アイツは。羽紗のことを、捜してたはずだろ。
「確か……咲乃、だったか。
羽紗なら、そいつと一緒にいる」
──ああもう、なんでだよ。聞いた瞬間に思ったことは、ただひとつ。また胸の痛みを隠して、羽歌は笑っていた。
それに気づけなかった自分の浅はかさと、羽歌の胸中を考えたら、どうしようもなく泣きたくなる。
──羽歌は、これ以上に傷ついてるはずなのに。