【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
04.特別な存在に、
【side乃唯】
──そう、きっと、あの時から。
俺の中での特別は、たったひとりだった。
「羽歌」
後ろから名前を呼べば、振り返ってふわりと微笑む。そして、俺の元へ寄ってきた。
「怪我、もう大丈夫……?」
「ああ。もうマシになってるんだけどな」
包帯が残ってるからかなり大袈裟に見えるだけで、実際は普通に使えるほどに治ってる。
心配そうな羽歌を見ていたら、思わず笑みがこぼれてしまった。
「お前が来るまでに、暇だからって
岬たちがコンビニでアイス買ってきたんだよ。食べるか?」
「ふふっ、うん」
幸せそうに笑う羽歌に、ほっとする。──最近の羽歌は、俺らといても楽しそうだ。
その事実が俺にとっては何よりも大事で。
「和泉さんとこに、よく泊まってんのか?」
──羽歌を手放すのが、惜しくなる。