【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-



──……



「なぁ、乃唯。ちょっといいか?」



いつもと変わらず、平和な空気の流れる部屋の中。夕咲はまた出掛けていて、梓はひたすらにパソコンと向かい合ってる。



稀沙は梓のパソコンをのぞき込んで、ふたりで色々話し合ってる。──そんな時に、スマホを置いた岬が俺のことを呼んだ。



「ん?」



部屋を出るように促され、あまり聞かれたくない話なのか、岬の部屋に入ったところで、気まずそうに岬が切り出した。



──揺らぐ必要は、どこにもない。




「念のため、聞くだけだから深く考えんなよ。


──あいつのこと、俺にくれ」



「突然だな……羽歌のこと、

嫌ってたんじゃなかったか?」



「気が変わった」



〝あの〟岬が、そう言った。羽歌を自分にくれと。それはつまり、自分の中にある弱さを乗り越える覚悟ができたということ。



「いいだろ?別に。

お前が付き合ってたのも好きなのも羽紗なんだから、あいつを取られても困らねぇ」



全てをとっくに打ち明けていたら。誰かを傷つけて、誰かを守っていた。所詮ガキの俺に、その両方は守れるわけがねぇのに。



「──羽歌のこと、俺にくれよ」



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